『日本沈没第二部』を読む。 三〇年前のベストセラー『日本沈没』は、巻末に第一部完と書いてあった。ようやく完結して小松左京さんのみならずファンもほっとしているよね。再映画化と連動して小説も新しい書き手で新しい物語がおこされるのは『戦国自衛隊』と似ている。
第一部は、それが書かれた1960年代〜70年代の世界情勢を背景にしていた(米ソ冷戦とか)が、それから四半世紀後のこの作品は、ほぼ現代の世界情勢を背景にしている(中東情勢とか中国の台頭とか)。ただし、"日本が沈没してしまっている架空の現代"である。
難民となった日本人が世界各地で迫害されたり、あるいは発展途上国の経済を牛耳ってしまったり、現地に同化してだんだんとアイデンティティを失うさまが描かれるが、そのへんは最初の期待ほど掘り下げられない。
今更だが、世界の中で日本列島だけが沈没してしまうという設定は、冗談みたいなものであり、その冗談度を薄めるというか、リアリティを増すために、地球規模の環境変化を構想し日本沈没はその先駆けというように風呂敷を大きくしている。ところがその結果、物語は、地球環境の変化に人類はどう対処するかというほうにシフトしていく。
今回の書き手、谷甲州さんは、日本が沈没したことにしなくても地球環境をテーマにこのような小説が書けたのではないかしら。逆にいうと、日本および日本人そして民族とはなにか?という第一部当初のテーマからいうとちょっとずれてないか。
とはいえ、民族問題みたいなのは、地球的規模の災害とか宇宙からの侵略とか、より大きな問題が発生して誰もそれ以外にかかずりあっていられなくなってようやく解決する気もしなくもない。とするとこの展開は、当初のテーマを追いかけた結果としてすごく妥当なのかも。
日本沈没 第二部 小松 左京,谷 甲州 他 4093876002 [Amazon] [bk1]
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